3月15日、16日と石巻を訪問し、新しい形式の食の交流を実施しました。ごく初歩的な事ではありますが、東京の人間が石巻魚事情を学びました。講師は三政水産の三浦さん、帝国ホテルに魚を納入する、石巻の魚事情に精通している達人です。どの時期にどんな魚が美味しいのか、東京には出荷しない、地元にしかない魚も含め、短時間で石巻の魚入門編をお聞きしました。
引き続き、水産加工業各社の皆様から、自社製品の特長を説明頂きました。(その後、食べました) 「震災前は…だったが、今はこれを作っている」などをお聞きすると、影響はいまだに大きく、やはり現場で聞かないと分らない事が多いと感じます。
水産加工品を使ったタルティーヌが一行の昼食、これは元帝国ホテルのパン職人山崎隆二氏が、料理ボランティアの会の紹介で指導しました。参加料理人も会の活動にちなんだメニューを食べ、このような流れにもなる事を認識し、食べた後は加工業者など石巻の方と交流でした。
食後料理人一行は夜の料理の仕込み、中村勝宏ムッシュの指揮の元、ホテルメトロポリタン エドモント、ホテルオークラ、帝国ホテル、京王プラザホテル合同の料理隊です。ピリッとした調理場、声をかけられない雰囲気、プロの時間です。
残った加工業者さんには、山下春幸シェフのセミナー、タイトルは「新しい日本食 新和食とは ~日本から世界へ~」石巻の魚の新しい可能性、着眼点に、参加者一同、本当に感銘を受けました。
夜は一転して、宴会場で魚料理の賞味会、石巻グランドホテルが魚の町の自慢料理を、料理ボランティアの会が「魚フレンチ」を提供、石巻市長はじめご参加者に日本・フランス双方から、魚食メニュー拡大の可能性を感じて頂きました。同じ地震国チリから6種類のワインが寄贈され、魚フレンチと白ワインの組み合わせに舌鼓を打った後、石巻イチゴを使用したクレープに歓声が上がりました。帝国ホテル望月シェフの傑作デザートです。閉会後は東京・石巻料理人による打ち上げ、厨房で並んで仕事した者同士が、今度は同じテーブルを囲んでグラスを傾け、夜の街に繰り出したのも自然な流れでした。
一夜明け、パティシエチームは昼のお菓子作り、石巻イチゴのケーキとタルト、150人分を作ります。普段若手に任す現場仕事に喜喜としている、帝国ホテル・望月、ホテルメトロポリタンエドモント・石田、両氏の表情がありました。それ以外の方はグランドホテル後藤社長の案内で、いまだ震災の傷跡が生々しい市内視察、2年経って瓦礫は無くなったけど・・・を肌で感じました。
昼からはアンジュガーデン迎賓館で「音楽と食の交流」。チェリストの溝口 肇さんとピアニストの林 正樹さん、2人の音楽家と料理人のコラボ、初めての形式です。これが本当に素晴らしい雰囲気!時間でした。まずは帝国ホテルのスイーツに度肝を抜かれ、次に心のひだの奥まで入り込んでくる、本当に美しいチェロの音色に皆さん本当に感激されていました。一緒に聴いていた料理人も癒されたのは同じで、ここの場にいただけでも感激、との声も上がり、恥ずかしながら渡辺は司会席で涙を流していました。
終わった後、ご参加者から感想をお聞きしましたが、そのご発言だけでなく、お帰りになる時の表情が、料理だけと、料理+音楽とでは、感動のレベルが違う、本当に喜んで頂いた事が分かりました。音楽家の方も、料理人とのコラボを本当に喜んで頂き、ケーキとチェロ、本当にこれは「東京でもやろう!」との声も上がりましたので、何とか実現させたいと思っています。
そんなこんなの2日間が終わり、新しい形式の料理ボランティア活動、ハプニングはあったものの、収穫が大きい二日間でした。このノウハウを皆様に公開させて頂きますので、良い事はどんどん広げて頂きたいと思います。震災が無かったら出来なかった人と人の出会い、そこから生まれる素敵な関係は、明日へのパワー、夢、実業面にも繋がるような、そんな展開に持って行きたいと思っています。石巻グランドホテルの後藤社長、小野寺常務、江田総料理長始め、関係各所の皆様方、本当に有難うございました。
最後に、今回賛助会員の方にも参加して頂き、全プログラムをご一緒して頂きました。当事者ではない方の冷静な目でご感想を頂戴し、今後の活動にも役立てていきたいと思っています。ご参加の皆様、お疲れ様でした。会をサポートして頂く皆様、こんな活動が終わりました。引き続き、意味ある事を実施していきたいと思っています。(文責:事務局 渡辺幸裕)※こちらでも報告しています。合わせてご覧ください。
今回参加者 (順不同・敬称略)
中村勝宏、石田日出男、小杉 聡 (ホテルメトロポリタン エドモント)
望月完次郎、 渕上一明 (帝国ホテル東京)
小島 淳、坂井直人 (ホテルオークラ東京)
坂下 賢、和泉良治 (京王プラザホテル)
北岡尚信 (プティポワン)
山下春幸、北村佳子 (HAL YAMASHITA 東京)、
溝口 肇 (チェリスト)
林 正樹 (ピアニスト)
海老原秀正、上野久美子 (賛助会員)
渡辺幸裕、石原由起子 (事務局)