6月24日の訪問の様子は、山下シェフ自身のブログにも報告があります。
山下シェフも書かれているように、「本校の生徒は内気な子が多くて…」と先生から聞いていましたが、なんのなんの、大変な盛り上がったという事をご報告します。凄かったです。生徒からの感想文も熱い物が多く、「絶対に料理人を目指す!」というように意識が変わった子達も沢山居ました。震災があっても無くても、子供達は将来を真剣に考えています。その子達の役に立てることが出来ればと思っています。
後日校長先生からお手紙で、被災地の現状、切なる希望、そして我々の活動への期待などを教えて頂きました。出張授業は初めてのサポートですが、これはこれで大いに効果があり、かつ食分野での応援としても意味があると思います。
7月30日の料理ボランティアの会チャリティ食事会にて、宮古水産高校の在原校長からの手紙の一部を拝読させていただきました。抜粋してご紹介いたします。
1.学校の現状
平成23年3月の東日本大震災・津波により本校の生徒約340人のうち3割が被災し、3名が死亡しました。2年が経過した現在、約40名の生徒が仮設住宅で生活しています。
現在宮古市では護岸工事の整備がさかんに行われていますが、復興支援住宅について具体的な建設計画の目途が立っていません。生徒達は不自由な住居空間での生活がこれから何年間も続きます。私にとっては、復興の速度が非常に遅い、というのが偽らざる感情です。
私が危惧しているのは、県内、県外で3.11の出来事と被災地に対する関心が急速に風化していることです。私は県内、全国の会議に出席する度に、その事を痛感します。
皆さんに僭越ながらお願い申し上げます。被災地の復興はこれから10年以上必要であることを理解していただき、被災地のことを忘れないでいただきたいと思います、また教職員、生徒は宮古市の復興のために一生懸命頑張りますので、皆さんのご支援を今後とも宜しくお願い致します。
2.山下先生の授業について(注:6月24日山下春幸シェフが出張授業に行きました)
先日はご多忙の中、山下先生に来校していただきまして大変ありがとうござました。山下先生の授業は、生徒、私を含めて教員にとって教養に満ちた刺激的な内容でありたいへん素晴らしい授業でした。山下先生は授業の中で「料理人を目指すならば、料理のことばかりしていては不十分である。絵画や美しいものに触れて感性を豊かにすることが必要である。」ということを語っていました。私の知る限り宮古の料理人の方で、このような内容を話す人はいないと思います。
生徒達は山下先生のようなエネルギッシュで国際感覚を備えた人と出会えたことで、確実に視野が広がり、世の中にはいろいろな世界があることを学ぶことができたと思います。
授業を通して生徒達は料理技術の向上だけでなく、進路選択について幅を広げて考えるためのきっかけや、自分の可能性に挑戦する動機付けを学んだと思います。
3.料理ボランティアの会に期待すること
(1)料理技術の向上とともに、生徒に料理を通して人生観、仕事観などを話していただける講師の派遣を望みます。
(2)人口5万人程の宮古市では出会えない国際感覚や教養、発想力、行動力などを備えたシェフとの出会いを期待します。
(3)日本料理、中国料理、フランス料理の講習など、本校に対する継続的な支援をお願い致します。
岩手県立宮古水産高等学校長 在原 眞