8月7日、福島第一原発の事故で全町避難している富岡町の同窓会イベント「子ども友情の集い」に協力、15名で美味しい料理とアイスクリームを提供させて頂きました。
郡山のビックパレットに約600名の小中高生とその保護者の方が集まり、年に一回、恩師や懐かしい同級生、PTA仲間との再会する場、もし自分がこの立場 だったらどうするかなど、考え込んでしまうような場ではありますが、この日1日はとびっきり楽しい日にしたい、という主催者のご依頼です。この楽しい日の 笑顔が更に弾けるようにと、とびっきり美味しい料理を持ち込み、富岡町の皆さん、次代を担う若者子供に本物の美味しさを味わって頂くように、かなり前から 準備していきました。
こういう活動は当然そうですが、準備が95%であり、現場合わせはほんの少し、それ迄の段取りが本番時にスムーズに 行くかどうかを左右します。その点今年も福島県出身のホテルオークラ小島料理長が事前打ち合わせも一人で行って頂き、メニュー作成や各ホテルとの調整など も綿密に進め、先発隊長としての前日から現場指揮して頂きました。これらは料理ボランティアの会が過去の活動を通じ培ってつきたノウハウと、築き上げてき たプロチームとしての信頼関係の賜物だと思います。
今回味わって貰ったのは、帝国ホテル、ホテルオークラ東京、ホテルメトロポリタン エドモント、ホテルインターコンチネンタル東京ベイ、四軒のホテルで作ったビーフ100%のミートボール、皆さんに本当に喜んで頂きました。
それぞれ微妙に味わいや食感が異なる4種のミートボール、旗を立ててどこの作品か知りたかったですが、それは無理というもの、でもこれは夢の食べ比べです。 合挽きではない牛肉の香り豊かで、脂身も牛のそのものの優しさ、噛み切る時に何故だか分かりませんが、違う事が分かる4種です。そしてこれが圧巻、4社4 種のバーベキューソースを現場で混ぜてしまい、全く新しく美味しいソースが出来上がりました。最終味見をした帝国ホテルの田中総料理長も「これは美味し い‼︎」と絶賛していました。
この日だけの特別・贅沢メニュー、この貴重な一品は味わった者だけが感想を言えるので、無くなる前に味見をしました。これを嫌いだと言う人はいませんし、パスタに絡まったソースはミートボールに漬けるのとはまた違う味わいがするのが不思議でした。本当に美味しかったです。
猛暑の中のデザート提供は美味しさと共に衛生面を考慮、パティシエチーム代表の帝国ホテル望月シェフの発案でケーキではなくアイスクリームにしました。勿論 冷凍して運び込み、食べる時間を見計らって解凍、カット、提供です。こう書いてしまえばそれだけですが、本当にプロの仕事をしていました。現代の名工が 黙々とアイスクリームに包丁を入れる姿はご参加者がカメラを向けるほどで、これも激励の気持ちが伝わったと思います。
富岡町の皆様、生徒や父兄は勿論学校の先生方、教育委員会の方、地元郡山市長始め同県人の避難を受け入れ応援している方達、多くの方が「美味しい、美味しい」と喜んで食べ頂きこの日の活動は無事今終了しました。
こういう活動の積み 重ね、料理人と被災地の方との交流が次の企画に繋がり、更に良い人間関係になり料理ボランティアの活動は続いております。今回も地元福島のスパリゾートハ ワイアンズの方も合流して活動、機材一式を郡山のホテルハマツさんが快くお貸し頂き、東京からは身軽に移動出来ました。このように東京・福島の共同作戦が 出来るのも良好な人間関係があるからです。
車両故障の影響で若干遅れたものの無事帰京した13名のチーム全員は、丸の 内で打ち上げ飲み 会、17時スタート、他のお客様は殆ど居ない店で美味しい料理とお酒で大いに盛り上がりました。こういう場が実は大切、普段共にすることの無い人が酒を飲 む、益々このユニットがパワーをつけた時間でした。でもこんな凄い人達に料理を提供するのは本当に勇気が居る事です。この猛烈なプレッシャーにも負けず素晴らしい仕事をし、プロの舌を唸らせた店、新丸ビル7階のmusmus(ムスムス)です。有難うございました。と言うことで次回に繋がる貴重な体験をした1日が終わりました。皆様お疲れ様でした。(料理ボランティアの会 東京事務局・企画推進 渡辺幸裕)